誘惑を振り切る
パブを出たあと、ぞろり地下街を散策していたら、ワインの試飲会をやっている。
意地汚い果てオヤジ、迷わず飛び込む。
黒木瞳似の見目麗しき美女が、ドイツのリースリングなぞ勧めてくれる。
うまし。
オーパスワンもあるのだが、値段が怖くてこちらからは行かず。
そんな果てオヤジの懐具合を見透かしたかのように、手頃そうなワインを勧めてくる瞳さん。
値段を聞いてみたら、ケース買いオンリーとのこと。
来たよ来たよ。
サマーセール中で一本3000円から。ということは約2万円か。
気の弱い男なら、トークに押され買ってしまうだろうが、そこは歴戦の強者果てオヤジ。
「ああ、おいしかった。ごちそうさま!」
そそくさと退散。
美人の前での生半可なプライドは無用。